▼ダービーというと、特別な響きがある。いわゆる頂点を目指す戦い。クラシック最高峰というレース。ただ、そこに感じるのは一生に1度という舞台の過酷さだ。その舞台に立つことすらできない馬がほとんどの中、やはり、そこでただ1頭チャンピオンになる幸運。何かが後押ししてくれるその偶然と、そこに挑むための必然が重なり合った一瞬を垣間見る我々がいる。6月2日、今年もその瞬間がやってくる。 ■羽田盃の検証〜2強の争いが濃厚 2010.04.21 羽田盃 1着シーズザゴールド(外) 2着マカニビスティー(内) ※成績はクリックで拡大 ▼幸運をつかみとる馬がここにいるだろうということは、大半の人が予想する通り。なぜならクラシック第1弾のこのレースが大井1800の舞台であり、本番東京ダービーが大井2000の舞台だからだ。コースが同じで距離がわずか200m違うだけ。外回りコースを使うのも同じだ。その羽田盃から40日あまり。ここで力関係が一気に逆転することは考えにくい。別路線組がどこまで迫れるかだ。 ▼その羽田盃の検証をしてみよう。勝ったのはシーズザゴールド、2着がマカニビスティーで差はハナ。3着ブンブイチドウは5馬身、1秒も離されている。体調面の狂いさえなければ、まずはこの2強の争いとみていい。 ▼勝ったシーズザゴールドは独走態勢を築こうとしたマカニビスティーを着実に追い詰め、最後ハナだけ抜け出した。終始内めを回り、非常にロスのない競馬。力をきっちり出し切っての勝利と言える。北海道から転入後〔4100〕と実に安定した走り。折り合って常に自分の力を出し切れるのは強みだ。逆にマカニビスティーはスタートひと息で、向正面から外を回って一気にまくりきった競馬。転入初戦の特別戦ではこのまま楽に押し切ったが、シーズザゴールド相手ではロスがあっては取りこぼしもあるという結果だった。転入前JRAダート3戦2勝、ヒヤシンス賞では兵庫CSを楽勝したバーディバーディに0.3差。マカニビスティーの能力は疑う余地はないが、多頭数で外を回る競馬しかできないのであれば、やはり一抹の不安は残る。第一人者の戸崎Jが同じ失敗をするとは思えないが。 ▼この2頭以外ではチャンピオンになるには少し厳しい。3着ブンブイチドウは続く東京湾カップでも2着敗退。勝負どころでスッと動けない印象で、着が多い現実はこのあたりにある。事実、昨秋北海道ブリーダーズGジュニアカップから連続8戦、重賞ばかり使って33322532着。ただ、2000の力勝負の舞台は悪くない。上位2頭に破綻があれば、やはりこの馬だろう。 ▼羽田組からこれ以外となると、可能性があるのはクラウンC勝ちのポシビリテあたりか。北海道当時はブンブイチドウと互角の競馬。ダービーでは現在3連勝中の川崎勢だけに要注意。堅実ドラゴンキラリは一連の比較から恵まれて連穴程度。 ■〜不気味なマグニフィカ〜 2010.05.04 東京湾カップ 優勝マグニフィカ ※成績はクリックで拡大 ▼別路線組からの注目馬はマグニフィカ。2歳当時から素質の高さで注目を集めてきた川島正行師の期待馬。前走東京湾カップで鮮やかに復活宣言をしたが、その内容が他を圧倒する秀逸なもの。2着ブンブイチドウを物差しとするならば、羽田盃上位2頭にも迫れる可能性がある。すでに東京ダービー4勝の川島正行師に秘策はあるのか。不気味な存在になる。 ▼参考資料 東京ダービー 過去5年の成績 ▼今年も5月30日から全国レベルでのダービーウイークが始まる。30日は九州ダービー栄城賞〔佐賀〕、31日は岩手ダービーダイヤモンドカップ〔盛岡〕、6月1日は北海優駿〔門別〕、2日は東京ダービー〔大井〕、3日は兵庫ダービー〔姫路〕、そして4日は東海ダービー〔名古屋〕。それぞれの地区で頂点を目指す戦いがまもなく始まる。少しの偶然と、積み上げられてきた必然が織り成すこの一瞬に立ち会える幸福。競馬好きにはこたえられない1週間になるだろう。 |
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