JBC競走も今年ではや14回。創設当初はクラシック・スプリントの2区分だったJBCにも、3年前からは牝馬の頂点となるレディスクラシックも加わった。すっかり円熟味を増した「ダート競馬の祭典」。その別名に異を唱えるものももはやいないだろう。 そのJBCが12年ぶりに岩手に戻ってきた。一周1600m、直線には急な坂が待ち構える世界基準のダートコース。晩秋の盛岡もこの日ばかりは熱気に包まれる。震災の影響で一度は開催すら危ぶまれた岩手競馬。ここで競馬ができることの喜びをかみしめながら一日を過ごしたい。
第14回JBCクラシック 11月3日(祝・月)盛岡競馬 第10R 15時40分発走 サラ3歳以上 地方・中央選定馬 定量 左回り2000m  ※クリックすると前3走の柱が別ウインドウで開きます。 中央馬6頭すべてがGI勝ち馬という超豪華メンバーが揃ったレースとなった。昨年、ダート界の中心を演じたホッコータルマエ、上半期を支配したコパノリッキー。新旧王者の激突に加え、新興勢力や堅実に走るベテラン走者。いずれにもチャンスはありそうだ。いまだ混沌としているダート中長距離戦線だけに、ここを勝てば王者へ大きく近づくことだろう。 ■ワンダーアキュート ▼5歳以降は掲示板率9割超と抜群の安定感を誇る。その反面勝ち味に遅い面はあるが、帝王賞では3番手から抜け出す見事なレースを見せた。過去JBCは1、2着と相性も良い。8歳ながら衰えというものを知らず、むしろ今が全盛期かもしれない。このレース最多の6勝をあげる名手の手綱捌きにも期待。 |
■コパノリッキー ▼本年3戦3連対、そのすべてがGI。逃げも差しもこなす自在性が最大の武器で、穴が見当たらない。帝王賞の負けは早め先頭、目標にされた分の負けで、園田1870mの勝ちっぷりを見るに2000mはまったく問題ない。530キロを超える大型馬だけに当日の気配が鍵となるが、力ならここでも最上位だろう。 |
■ホッコータルマエ ▼昨年JBCクラシックなどGI級競走4勝をあげた昨年、ダート界はこの馬を中心に回っていた。今年も川崎記念1着、フェブラリーS2着と順調にきていたが、ドバイ遠征では惨敗。このレース自体は全天候馬場で行われたため度外視が可能だが、一回躓くと意外に引きずるのが競走馬。闘志に火がつくかが最大のポイントか。 |
■クリソライト ▼前走日本テレビ盃は2番手から36秒9の上がりで後続を置き去りにした。3歳時にはJDDを7馬身差で勝つなど高い素質を見せていたが、昨年JBCでまさかの惨敗。今夏まで悪い流れが続いたが、秋を前に復活とあいなった。マーキュリーC2着が浮上のきっかけになった盛岡で、今度は美酒に酔いしれる。 |
■ベストウォーリア ▼前走南部杯4馬身差VでJpn1初勝利を飾った。メンバーに恵まれたとはいえ、強い勝ち方だった。ただしこの馬、全7勝はいずれも1600m以下で、距離がどうかは気がかり。 |
■カゼノコ ▼追い込み一手という脚質ながらダートに限れば[4.1.1.0]、未だ3着を外さない安定感を誇る。4角でも7番手という位置取りから矢のように伸びたJDDからは、世代最強はおろか歴代でも屈指のポテンシャルを感じさせた。古馬を相手にするのは初めてで文字通りここが試金石。 |
■ナムラタイタン ▼今春岩手転入後、地元重賞をいずれも大差で圧勝、もはや岩手には敵なしのナムラタイタン。その後南部杯では6着と期待を裏切ったが、少しズブくなった今ではマイルも短かったのかもしれない。相手は強いがJBCクラシック初の地方馬制覇へとがんばってもらいたい。 |
第14回JBCスプリント 11月3日(祝・月)盛岡競馬 第9R 14時55分発走 サラ3歳以上 地方・中央選定馬 定量 左回り1200m  ※クリックすると前3走の柱が別ウインドウで開きます。 短距離界は長らく絶対王者が不在で、暫定王者が乱立している状態にある。その既成戦力もレースの度に順位が入れ替わることしばしで、今回の3鞍の中でもっとも難解な一戦と言えるかもしれない。さらに高松宮記念を勝ったコパノリチャードの参戦。初ダートだが、その底力は誰もが認めるところ。取捨次第で妙味も十分狙えそうだ。 ■ノーザンリバー ▼昨年末カペラSで、3歳の春アーリントンC以来久々の重賞勝利以降、着実にダート短距離界のトップクラスまで登りつめた。秋初戦の東京盃では直線素晴らしい伸び脚。着差以上の完勝で、本番へ向けて最高のスタートを切った。勢いに乗って初めてJpn1を制しその地位を盤石なものにする。 |
■セイクリムズン ▼ここまで積み上げてきた実績は言うまでもなく、長くこの路線のトップクラスで活躍を続ける。8歳になった今年は初戦こそ大敗したが、黒船賞勝ちをはじめ、その後も掲示板を外しておらず安定感は抜群。JBCスプリントは過去3回出走し2,2,3着とあと一歩の結果が続くだけに期する思いは強いはずだし、前走32キロ絞って好走した反動がなければ好勝負可能。 |
■タイセイレジェンド ▼2012年JBCスプリントの勝ち馬。今年はクラスターCからの始動だったが60キロの酷量を背負ってのレースだっただけに参考外といっていいし、前走の惨敗は大外枠で流れに乗れなかったことが大きかった。ここ2戦はひと息だが盛岡の1200Mは走り慣れているし、今回は叩き3戦目で57キロ。一変しても驚けない。 |
■コパノリチャード ▼春の芝スプリント王が盛岡の地に参戦。ここまで芝の重賞4勝とまだまだ底を見せていない4歳馬だ。前走スプリンターズSは12着に敗れたが、休み明けでもあったし、勝ち馬とも0.4差と大きくは負けていない。血統的にもダートはこなせそうだし、芝でのスピードを生かせればアッサリ勝っても不思議ではない。 |
■ドリームバレンチノ ▼初めてのダート戦となった昨年のJBCスプリントではエスポワールシチーの2着と適性の高さを見せた。東京盃ではノーザンリバーに敗れたが3着は2馬身離し、秋初戦としては上々の内容。ここも崩れないだろう。 |
■ティアップワイルド ▼短距離路線で安定した走りを見せてきたが、昨年の秋から本来の走りが取り戻せないでいる。実績はあるが、今回は4月以来の競馬で気配重視となりそう。 |
第4回JBCレディスクラシック 11月3日(祝・月)盛岡競馬 第8R 14時15分発走 サラ3歳以上牝馬 地方・中央選定馬 定量 左回り1800m  ※クリックすると前3走の柱が別ウインドウで開きます。 昨年の覇者メーデイアが引退して混沌が訪れるかと思われた春の牝馬戦線。しかし、結果はワイルドフラッパーが他の追随を許さない絶対女王として君臨した。 ところが夏、サンビスタがその天下に待ったをかける。そして秋、再びワイルドフラッパーの時代が到来したレディスプレリュード。今回のJBCはおそらくワイルドフラッパーをめぐるレースになる。力は抜けているかもしれない。だが、15頭すべてを敵に回しても彼女は勝ちきれるだろうか。 ■ワイルドフラッパー ▼今季の充実著しく、メーデイアの引退後牝馬ダート路線トップの存在といっても過言ではない。牡馬相手の平安Sでも見せ場十分の3着と力が通用することを見せたし、14キロ増だったブリーダーズGCで敗れたサンビスタには前走でしっかりリベンジ。ここも死角は見当たらない。 |
■サンビスタ ▼前々走のブリーダーズGCではワイルドフラッパーを破り大金星をあげた。鞍上の好プレーもあったが確実に力をつけている一頭だ。ワイルドフラッパーには1勝2敗と分が悪いが、勝った時のイメージで戴冠を狙いたい。 |
■アクティビューティ ▼この路線の常連となった。牝馬ダート路線に限っていえばまだ掲示板を外したのは一回だけという高い安定感。昨年のクイーン賞以来勝ち星から遠ざかっているがあとひと押しを期待したい。 |
■トロワボヌール ▼ダート戦でのキレ味は相当で、このレース最大の惑星。ダート戦に限ってはまだ連対を外しておらず先々は重賞戦線で活躍できるだけの能力を感じる。特に時計勝負と、左回りには絶対の自信。牡馬相手にも全くも引けをとらず上昇一途で一気の戴冠を…と期待できるだけの魅力がある。 |
■コーリンベリー ▼芝での新馬戦大敗後、ダートに矛先を向け3連勝でOP勝ちした。前走は古馬の牡馬相手と相手は一気に上がったが、ややスタートひと息で強引にハナをきったにも関わらず0.4差と踏ん張った内容は評価できる。まだ今後の活躍が楽しみな3歳馬だが、現状でもどこまで戦えるか楽しみは大きい。 |
■ブルーチッパー ▼今年に入って3連勝と勢いに乗っての参戦。3連勝はいずれも逃げての完勝劇とまだ底を見せていない。初めての重賞挑戦とハードルは上がるが、勢いがあるだけに軽視は禁物だ。 |
■その他では ▼昨年同レース5着と健闘し、今年は交流重賞2着。地方所属馬で最上位クラスといっていいピッチシフター。前走も5着と敗れたが上がり36秒で追いこんだ末脚は目立っていたし、JRA勢に入ってもその力はひけをとらない。地方の意地と意地と夢を乗せ、強敵相手に挑む。偉大なる故川島正行調教師の遺伝子を引き継ぐカイカヨソウと佐藤裕太調教師も参戦。スパーキングレディーカップ以来の実戦になるがここでも通用する能力はあるだけに、仕上がりがカギとなる。 |
市川 俊吾 Shungo Ichikawa [大井トラックマン]大井取材ノート担当 競馬をクールに語る若者は増えてきたが、そういう風の向きとは正反対。常に熱く、のめり込むほどの競馬優先の生活が楽しくて仕方がない。馬券は誰も思いつかない穴馬を思い切り狙う直球勝負。久々に熱を感じる存在だ。プロスポーツでは野球、楽天の大ファン。日刊競馬POGの放談Iとは彼のこと!? | 佐藤 匠 Takumi Sato [編集部]調教・データ室担当 全国競馬場巡りが趣味の大型?(小太り)新人。見た目とは裏腹の年齢と、休みとなれば全国津々浦々カメラ片手に競馬場とフットワークの軽さは度肝を抜く。毎週火曜、地方版配信メールで"佐藤匠のちょっと聞いてよ"を連載中。 |
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